ターボチャージャーとは?

ターボチャージャーとは?

よく耳にする「ターボ」とは「ターボチャージャー」のことで略称です。日本語でいうと「過給機」と呼ばれる部品です。エンジンの排気量以上のパワーを引出す為のパーツです。

ターボチャージャーがエンジンのパワーをあげる仕組み

ターボチャージャーの構造

ターボチャージャーは、エンジンの排気量以上のパワーを引出すためのパーツですが、具体的にはどの様な仕組みになっているのでしょうか。
まずは車のエンジンについてですが、エンジンは4段階の動作をしています。

  1. 『吸入』空気とガソリン(混合気)を吸い込み、
  2. 『圧縮』吸い込んだ空気を圧縮し、
  3. 『燃焼』スパークプラグで点火、爆発します
  4. 『排気』燃焼ガスを排出し、1.へ戻ります。

通常、排気ガスは当然外へと排出されるのですが、ターボチャージャーが搭載されている車種は、その排気ガスを利用します。『タービン』という羽根のような形状の部品に排気ガスをを当てタービンを回します。すると、軸で繋がっている逆側(吸気側)の羽根も回ることにより空気を吸い込みます。吸い込まれた空気は圧縮されエンジンへと送られます。たくさんの空気を送ることでたくさん燃焼できることから通常の排気量以上のパワーを出す、という仕組みです。

ターボチャージャーに欠かせないインタークーラー

そしてターボチャージャーと合わせて働く部品に『インタークーラー』という冷却装置があります。圧縮された空気は高温になる為、そのままだと他の部品にも良くない影響を及ぼします。また『高温の空気は体積が増える』という性質があります。しかし、酸素量は変わりません。つまり同じ空気量でも低温の方がたくさん酸素を運べるというわけです。ですので、ターボチャージャーには冷却装置であるインタークーラーが欠かせません。冷却がうまく行われないと酸素不足からノッキングの原因になったり、エンジンの出力低下、燃費の悪化にもつながります。

ダウンサイジングターボ

ターボチャージャーのデメリット

スポーツカー全盛の80年代から90年代にかけてターボ搭載車も増えましたが、当時のターボチャージャーは一言でいえば燃費が悪くなるというデメリットがありました。なぜ燃費が悪くなるかといえば、当時のターボチャージャーは『パワーを上げる』という面が『より速く走る為のツール』として広まったことが大きかったと考えられます。高回転で、よりパワーを出す為には、羽根を大きくし、送り込む空気量を増やします。それにより、低回転ではターボが効かない『ターボラグ』や『ドッカンターボ』になっていました。また、ターボチャージャーの出力が大きいほどエンジンでノッキングを起こしやすくなります。ノッキングを防ぐためにガソリンを噴射する割合を多くします。これが燃費悪化に繋がり、時代は低燃費化へと進むにつれて、次第にターボ車は軽自動車やディーゼル車を除きほとんど無くなっていきました。

ダウンサイジングコンセプト

ターボチャージャーを用いる目的で『パワーを上げる』という意味では現在も変わりませんが、従来の『より速く走る為のツール』ではなく、エンジンの小型化や、低回転でもターボが効くように設計することで、『小排気量でも従来エンジンと同等性能を引き出す為のツール』としてターボチャージャーを用いる設計コンセプトを『ダウンサイジングコンセプト』といいます。
日本では低燃費といえばハイブリッド車が普及してきましたが、世界的には既に『ダウンサイジングコンセプト』が主流で、日本でも今後『ダウンサイジングコンセプト』が普及すると言われています。

スーパーチャージャーとは

上記でも説明したようにターボチャージャーは排気を利用する過給機と呼ばれる部品です。過給機は大きく2つに分かれます。『排気式過給機』と『機械式過給機』です。排気を利用して動くターボチャージャーに対し、スーパーチャージャーは”エンジンの動力”を利用して動くことから『機械式過給機』と呼ばれます。

スーパーチャージャーのメリットとデメリット

ターボチャージャーは排気を羽根にあてることで回ります。排気が少なくてはターボチャージャーの機能を発揮できません。これを『ターボラグ』といいますが、スーパーチャージャーはエンジン動力で作動しているため、低回転から作動し、この『ターボラグ』が発生しません。低回転から過給機の恩恵を受けることができる為、レスポンスアップなどを期待できます。しかしデメリットもあります。エンジンの動力を利用するため、高回転になるほどに(機械的)ロスが大きくなることです。一定以上の圧力は出ない為、低回転~中回転向きといえます。
ターボチャージャーの進化(ダウンサイジング)により、ターボチャージャーの欠点であったターボラグの軽減や低回転域からもターボチャージャーが効くようになり、今後はターボチャージャーが主流になると見られています。

ターボチャージャー 故障時の主な症状と原因


ターボチャージャーが故障することをタービンブローといいます。ターボチャージャーのトラブルは症状や段階によって、見る箇所や交換する箇所は変わってきます。もちろん放っておくほど症状や損傷の具合は深刻化していきますので、おかしいと思った時にはすぐに工場やディーラーへ点検に出すことをおすすめします。

主な症状としては、

  • 白煙(オイル漏れ)
  • 出力不足(過給圧が上がらない)
  • 異音

などが挙げられます。配管の緩みや吸気/排気系の詰り、エンジン自体の不良など原因は様々で、ターボチャージャー本体の損傷があるかどうかを確認する必要もあります。

ターボチャージャー本体の破損原因

ターボチャージャー本体が損傷している場合は当然交換が必要となりますが、ただ交換するだけではまたすぐ同じ症状で損傷してしまう可能性があります。原因を突き止め、しっかりと対策を行うことが重要です。

  • 供給オイルの不具合
    オイル不足、オイルの経年劣化などからスラッジが発生し、焼き付きの原因となります。エンジンオイルはこまめに交換しましょう。
  • 異物飛び込み
    吸入/排気側に異物が飛び込むことによって、インペラやホイールの羽根が破損します。羽根が破損しているまま回転することにより、タービンシャフトがアンバランスとなり、シャフト折れやベアリング焼き付きの原因となります。また、欠けたタービンの羽がエンジン内に入るとエンジンブローの危険も伴いますので、早めの交換をおすすめします。
  • 排気温度の超過
    高回転でタービンが回されたあと、すぐにエンジンを切るとエンジンオイルの供給も止まり、シャフトが油膜切れを起こしやすくなります。スラッジを発生する原因にもなり、これも焼き付きなどの原因になります。エンジンやターボチャージャーに負荷をかけた後はしっかりとクールダウン(アイドリング)してからエンジンを切るように心がけましょう。目安としては1,2分もあれば十分と言われています。

そもそもターボチャージャーの寿命は?

ではターボチャージャーの寿命、いったいどれくらいで交換だと思っていればよいでしょうか。残念ながらターボチャージャーの寿命は乗り方によって大きく異なります。当然アクセルをたくさん踏み込むような走行をしている場合、負荷も高くなるので当然寿命も短くなるわけです。20年以上ターボ車に乗って、一度も壊れたことが無い方もいれば、短い年数で複数回タービンブローを繰り返す方もいます。

タービン部分は800~900度もの高温度の排気を受けて毎分20万回転という高回転で回る非常に過酷な状況で使用されています。油膜切れやエンジンオイルの劣化を防ぐためにエンジンオイルはこまめに交換し、高負荷での使用後はアフターアイドリングを心がけるようにしましょう。

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